今年もまた私の好きな季節がやってきた。激しい寒波を乗り越えて訪れた暖かい季節が。 中庭では実に良い気持ちでお昼寝もできるし本当に素晴らしいと思う。 そして私の大好きなピンク色の花びらも舞い落ちる。最初見たときは美しいと純粋に思った。 その花びらが舞い散る中、私は長椅子に座ってうつらうつらと睡魔に襲われる。 授業まで時間はまだあるし寝ちゃおうかな…。私の意識はそこで途切れた。


誰かの声が聞こえた気がする。その声は次第に大きさを増す。そしてハッと目を覚ました。 目の前には私を見つめるクラサメ隊長がいた。寝ぼけていた顔は一瞬で治ってしまった。



、こんなところで寝ていると風邪を引くぞ」

「す、すみません…気持ちよかったもので…」

「…まあ、分からなくもないが」



隊長がフッと笑った。隊長って笑うんだ…っ!!なんかすごい意外かも…。 そう思いながら私は隊長を見つめた。いつもこんな風に笑ってればいいのになあ。 隊長はピンクの樹を見つめる。隊長も好きなのかなあ。



「綺麗、ですよね。このピンクの花びら」

「ああ。サクラと言うそうだ」

「サクラ…。良い名前の樹ですね」



しばらく隊長とサクラの樹を眺めていた。その散り様は儚くて美しかった。 少し悲観的になってきてしまったなあ。なんて自嘲気味になってしまう。



「こんなに美しいのに、一瞬で散ってしまうなんて勿体無いなあ」

「私は嫌いではない、散り際も美しいからな」

「え?」

「それに、これが最後ではないだろう」



そう言って隊長はまたフッと笑った。そして教室の中へと去って行った。 明日も中庭に来るかななんて淡い期待を抱きながら今日一日を過ごした。 そして次の日、私はまた長椅子に座ってサクラを眺めていた。 すると………来た。隊長が来た!!



「またサクラを見ていたのか?」

「はい!隊長こそサクラを見に?」

「…そうだな」



そのとき少し隊長の表情が哀しそうだったのは気のせいだろうか。 すごく胸が痛い。私は隊長の顔を見つめた。すごく端麗な顔していて羨ましい。 なんだろうこれ。



「今年のサクラもそろそろ見納めだな」

「そうですね」

「…来年も見られるといいが」

「いっ一緒に見ましょう!来年もっ!」



勢いよく言ってしまって咄嗟に口を閉じてしまった。わー!一緒に見ようだなんて恥ずかしい! 何言っちゃってるんだ私は!顔を真っ赤にして俯いてると隊長が急に隣に座った。 びっくりしてビクッとしたけどすごく心地がよかった。



「今日はそのつもりで来たんだが、来年とは先を越されたな」



また隊長は微笑んだ。これで三回目。恥ずかしかったけどその分嬉しかった。 来年も隊長と見られるといいな。そう思いながら私も微笑んだ。













風の月に舞い落ちる花

(彼女と見るサクラがこんなに楽しみになるとはな)









end...


これ実は続きます(´・ω・`)
甘とか書けないです中途半端ですいつも…(シリアスもだろ)
分かる方は分かると思いますが風の月は零式で言う4月を指します!